変形性股関節症
(へんけいせいこかんせつしょう)

股関節の軟骨がすり減って、骨が変形し痛みを引き起こす病気です。関節の動きが制限されると靴下を履くのも困難になってきます。レントゲンでは関節の隙間が狭くなり、骨棘という骨の変形や骨嚢胞という骨の空洞が認められます。
歩行は痛みがあるのに長時間歩くことは避けるようにし、股関節に対する負担を減らすために杖を使用することが4望ましいです。関節の変形がすすんでいる場合は人工股関節置換術が行われます。手術するほどの痛みでなければ、運動療法で痛みを改善させることは可能です。

症状
主な症状は股関節の痛みですが、大腿部、腰部、膝関節に痛みが起こることもあります。股関節の動きが制限されると靴下を履くのも困難になってきます。変形が進行して脚の長さも左右で違いが出てくると、歩くたびに傾いた姿勢になり階段も手すりが必要になってきます。
診断
股関節の痛みがあることと、あお向けに寝て膝を曲げた状態で片方ずつ外側に倒していくパトリックテストで痛みを訴えることで診断できますが、全例で陽性となるわけではありません。股関節のレントゲンで初期は関節の隙間が狭くなりますが、進行すると関節に骨棘という骨の変形や骨嚢胞という骨の空洞ができ、末期では関節の隙間は消失し、骨頭の変形も著名になります。MRIでは軟骨のすり減りの程度や骨の中の空洞や浮腫の程度を評価することができます。股関節や脚の痛みは腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症あるいは変形性膝関節症などの症状と似ていてそれぞれが合併することもあるので、鑑別診断をする必要があります。
治療
筋肉トレーニングは、股関節を外側に開く働きのある中殿筋の筋力強化が有効だとよく言われますが、股関節の動きが悪い状態で中殿筋の訓練を行なおうとしても骨盤で動いていることがよくありますので、まずは股関節の可動性を改善することが必要です。股関節に対する負担を減らすための日常生活の注意は最も重要です。杖は片側に軽くつくだけでもかなり股関節への負担を軽減する効果がありますので、心理的に抵抗がなければ杖を使用することを勧めています。肥満傾向にある場合は減量したほうが負担を軽くできます。歩行は痛みの無い範囲でなら構いませんが、痛みがあるのに長時間歩くことは避けるようにします。水中ウォーキングは股関節への負担が少ないので構いません。脚の長さに差があり歩くたびに体が傾くようであれば、靴の底に高さをたすことで脚の長さを調節します。初期のうちは股関節を生かした骨盤骨切り術や大腿骨骨切り術などがありますが、関節の変形がすすんでいる場合は人工関節全置換術が行われます。人工関節は股関節の痛みをとって動きを回復しますが、あくまでも金属や樹脂でできた人工物であるので、使っているうちに磨り減ってきて10数年経つと入れ替える手術が必要になることがあります。股関節固定術は股関節の動きを犠牲にして腰椎や膝による代償が必要となるため、人工関節が開発された現在は、あまりおこなわれていません。
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2024/4/19
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